医薬品関連

医薬品通販規制後の流れ

はじめに・・・

省令が開始されてからの主な経緯をまとめています。これらの項目に関しましては時期や内容などに誤りがある可能性がございます。その点は予めご了承をお願いします。現在では薬事法は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法)と変更となっています。

2009年

6月1日 省令スタート

通信販売では第二類医薬品が継続購入者のみであり、同一商品に関して販売可能として規制される。また、第一類医薬品は規制対象とされ、排卵日検査薬などの検査薬、大容量の浣腸などにおいては医薬品は医療用医薬品としての扱いとなる。また、通信販売全般に及んでいるので、電話やFAXであっても同様の扱いとなり、猶予期間として2年となっている為、実質的には2年後に完全に規制となるため、通信販売の完全な規制となっている。検討会においてはパブリックコメントでは第一回目は90%以上、第二回目は80%以上とする反対意見、楽天及びYAHOOにて百万件の署名を提出したのにも関わらず、考慮などを行わずに開始。これに伴い、ケンコーコム、楽天などが訴訟を検討。

ケンコーコム及びもう一社が提訴。

楽天は静観するとし、違憲であるとして厚生労働省に違憲であることを確認する裁判を開始。2009年の結審時には検討会での説明ではドイツでの医薬品通信販売は実際には許可になっていたのにもかかわらず、規制となっていると食い違う説明があったとしている。(ドック・モリス事件)また、厚生労働省側は安全性の確保として規制したとするが、実際には薬事法第37条「販売方法の制限」の部分にて制限はなされているものではなく、薬事法第36条「情報提供」の部分にてなされている。また、自民党が与党の際に規制改革会議は通信販売を認めるべきだとしたが、内閣府の管轄であるとして厚生労働省側は黙殺。 なお、確認する裁判における判決は2010年3月30日となる。

2010年

選挙の際、各党が回答した内容など(概略)

  1. 自民党
    i-Japan戦略2015と検討会の内容を踏まえて決定をする。(ただし、自分が確認した限りでは、i-Japan戦略2015には、レセプト制度に関する内容は確認できるが、医薬品の販売方式などの記載は見受けられない。)その後、2010年7月11日に行われた選挙のマニフェストにおいて、かかりつけ薬局をより一層遂行するためなどの理由により、インターネットでの医薬品通信販売の拡大防止を提唱。
  2. 民主党
    事業規制のゼロペースを目指し、履歴管理や専門家のあり方、新たな発想や手段などを検討することで、規制の在り方を見直す。(ただし、2010年7月現在、6月の検討項目としてあげられるも、反対意見もあるとの理由で調整中となり、2010年7月11日に行われた選挙のマニフェストにおいては何も提唱は行われていなかった。)
  3. みんなの党
    2010年7月11日に行われた選挙のマニフェストにおいて、免許制度の導入や規制を制定しながらも原則としてを認める方針を提唱。

裁判の結審と判決(第一審判決)

裁判に関する判決については2010年3月30日に判決が下され、全面的なケンコーコム側が全面敗訴の判決が下された。ただし、判決文の中では対面販売において、使用者以外の人間が購入しに来たときでも顔や声、体格を見ながら相談などが行えるという内容であるので、これに対しては相当の違和感及び現実的に不可能な事を述べている。また、民主党政権になり、上記の意見を述べているのにも関わらず、厚生労働省は取り締まりの強化などを行っていたり、薬事法改正により、医薬品の販売がきちんとできているかどうかに関するおとり捜査を容認する予算の確保を行ったりしている。

行政刷新会議で規制仕分け。

5月に「はとみみ」の意見募集に関して、約4800件のうち約1800件が、市販薬の通販規制の撤廃要望があり、6月中に結論が出る予定で行政刷新会議で検討中であったが、7月現在、6月の検討項目としてあげられるも、反対意見もあるとの理由で調整中となったため、6月末までの結論は出ていなかった。なお、2011年3月に規制仕分けが行われ、省令の期間延長を行うと同時に販売に関する方法などを検討していくこととして仕分けが行われ、閣議決定がなされた。また、6月末までに検討を行うこととされてはいるが、2011年3月に発生した東日本大震災のため、震災に関する項目の対応後に速やかに行うこととされている。

当時の薬事法改正によって実際に行われている事実。

  1. 個人輸入の幇助
    海外からの日本の医薬品などにおいては個人輸入代行は全て規制対象外のため、市場自体の独占に成功。実質的には規制を厚生労働省が行ったことで、個人輸入代行業者の市場独占などの手助けを行っていることに現状としてなっている。ただし、個人輸入は考え方によってはセルフメディケーションの概念である個人の健康に責任を持つことや関税において自動的に個数の制限がなされ、没収などが行われるため、大量購入などの自動的規制がなされているとの意見もあり、それならなぜ日本ではこういった規制にしないのかといった意見もある。
    一部の団体や官公庁ではケンコーコムシンガポールや空詩堂に関しては個人輸入の明確な法律に基づいて行われている為、実際には規制対象外であり、合法の元に行っているのにも関わらず、誤った知識の元に違法だと述べる場合がある。また、輸出に関してはジェトロ(日本貿易振興機構)が明確に回答を行っていますが、輸出自体が違法であるとの意見を平気で述べる団体なども存在する。なお、国内向けに薬事法上の承認および許可を受けた製品をそのままの形態で輸出する場合には、薬事法上の規制は全くありません。 また、個人輸入に関しては、医薬品に関しては、用法・分量からみて2カ月分以内。ただし、要指示薬は1カ月分以内。化粧品および医薬部外品に関しては標準サイズで1品目24個以内となっている。→関連情報(厚生労働省)
    輸出に関しては郵送だと平気で述べる団体もありますが、メーカーからの医薬品の納品に関しては卸販売であっても現金問屋などにおいては、宅配便などの郵送による薬局や店舗販売業に対して現金販売がなされていることや、納品は宅配業者によってなされている事も事実であります。また、不良品などが発生した場合に関しては、メーカーより直接返品や交換を受け付け、返金や交換を行う場合もあり、その様な意見に関しては一般常識に関する認識などを問いたい状況となっている。
    反対側の団体や官公庁に関しては、危険だと述べるのにも関わらず、比較的日本でも厳しい規制がなされていること自体を知らなかったり、そもそも郵送する行為は禁止であっても届けることに関しては決まりが無いだけなのにも関わらず、合法であるので全く問題ないといった状況なども発生している。
    官公庁が述べている意見にも矛盾点があり、個人輸入に関しては官公庁自体は推奨していないが、日本での医薬品の相談販売による郵送や通信販売などに関しては個人輸入以上に厳しい規制を行っているのはある意味で矛盾以外の何者でもない状況となっている。
  2. 特定販売業は通信販売をして良い事になっている。
    現在、薬局業及び店舗販売業となってはいるものの、改正薬事法開始前に法的制度としてあった特定販売業の許可を駆け込みで取得し、改正薬事法前に取得した場合には、そのまま特定販売業を継続することになっているため、今回の法律では該当項目がなく継続して販売を行っている。
  3. 伝統薬の存続危機
    昔からあった伝統的な医薬品の販売自体を取りやめるドラックストアなどが多く発生し、今回の規制と2009年度の不景気によって薬局をやめる店舗も多く、入手困難になりつつあるが、通信販売が規制となっているので、これらの伝統や歴史のある医薬品をなくす行為に厚生労働省は加担している。 また、2011年3月の東日本大震災の影響により再起不能の伝統薬メーカーも出現する可能性がある。
    ・この時点では郵送ができないこと自体に関する反対意見が多い
    受注手段などに関わらず、インターネット以外においても郵送ができない事に関しては、足の不自由な方や高齢者などに関して不憫な状況となっている。また、電話やFAXでの相談などによる受注であれば比較的容認する意見も比較的多い。

2011年

猶予期間延長

2011年3月に開催された規制仕分け、4月に募集されたパブリックコメントなどの結果を踏まえ、2013年5月末までの期間延長がなされた。

規制仕分け結果においては改革の方向性として、安全性を確保する具体的な要件の設定を前提に、第三類医薬品以外についても薬局、薬店による郵便等販売の可能性を検討する。留意点としては検討の結果が得られるまでの間、経過処置を延長する。また、第一類から第三類のリスク区分についても、不断の見直しを行う。また、2011年4月に募集されたパブリックコメントの結果に関してはPDFファイルとして別紙にて公表されている。→薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案(案件番号:495100362)の募集結果(PDF)

2012年

独自の検討会を開催と意見書提出(2011-2012年)

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が現在、専門家や有識者で構成する医薬品通販のルール化に関する任意の検討会を立ち上げ、ルール化に関して検討中し、要望書などといった形式で提出などを行う可能性があるとの事。今回は中立的立場での検討会との事で検討が進行しているものの、規制開始当初などおいて、同協会においては反対の立場であった。実質的な方向転換が行われ、意見書などを関係機関へ提出された。

裁判の結審と判決(高等裁判所)(第二審判決)

・今回の判決では第一審判決を取り消し、ケンコーコム側に販売する権利があることを認める。
・省令の無効化、削除は実害がないので、判決をすべき項目ではないとの理由で退けられた。
・5月9日に厚生労働省が上告、最高裁の判断を仰ぐことになる。
※矛盾はしているが、判決は行政処分の対象にはならないが、省令の成立過程は有効としている。
判決理由:
1.仮定として違反行為が行われた際の行政処分を不服として訴えを起こした場合を想定。
2.国家行政組織法によって郵送等販売の部分に関しては、省令への委任範囲を逸脱していると判断されるので処罰の対象ではない。
3.パブリックコメントなどにて反対意見などが大部分であったとしても、省令の成立に関しては問題なく行われている。

2013年

・裁判の結審と判決(最高裁判所)(2012-2013年)(第三審判決:判決確定)
①国側が控訴したため裁判が行われるも弁論の機会が全く設けられずにそのまま結審。
②2013年1月に判決が下され、第二審判決をそのまま支持した判決となる。
③販売する権利自体も明確に認められる。
④これに対し政府は議員立法の可能性を示唆するが、2月に検討会を行う予定となっている。
→その後、議員立法に関しては否定。検討会を行うことは確定。

検討会の開催

検討会に関してはメンバーが判決前から携わってきた方々で構成されている。通販自体の判決は確定し、対面の定義自体も崩れているのにも関わらず未だに通販自体の規制をするために対面という理由を出す意見も多く、結局賛成派、反対派の両論意見による報告書が提出される。

第一類医薬品に関する厳格規制を定める予定(2013年11月)

スイッチOTC及びダイレクトOTCに関しては安全性の情報収集制度などの関係により、従来の情報収集期間を4年から3年に短縮し、3年経過した第一類医薬品に関しては通信販売による販売が出来るとする事が議員立法による薬事法本条で盛り込むこととして閣議決定がなされる。これに対して一部の通販会社が反対をしている。

医療用医薬品に関する通販規制の明記化(2013年11月)

医療用医薬品(処方せん医薬品など)の通信販売(厳密には処方は対面によるものとする規制)を行うことが決定。これに対して一部の通販会社が国に対して差止めの提訴を行った。また、第一類医薬品になったばかりの要指導医薬品という区分が新たに選定された。要指導医薬品は通信販売が行えず、店頭販売のみとして規制されている。

2014年

厚生労働省にて医薬品の通信販売に関するルールなどを選定する事により、許可制として行っている店舗の一覧表をホームページ上に公表している。

2017年

区分の見直しなど

第1類医薬品の中でも検証などが行われ、昨年まで第1類医薬品だったものが第2類医薬品などに区分変更などが随時なされている。また、体外検診用医薬品であった排卵日検査薬なども第1類医薬品として販売が開始された。

セルフメディケーション税制

年間12000円以上該当する医薬品を購入した際に88000円までを対象に控除が得られる制度が開始。ただし、特定健診などを受けているなど健康に対して積極的に取り組んでいる人が対象となるので注意。詳細は厚生労働省のセルフメディケーション税制の概要ページに記載されている。